本研究はCMB回折波というこれまでトモグラフィーに用いられてこなかった波を用いてトモグラフィーの新手法を開発する。その特徴は以下2点である:①この回折波はCMBに沿って伝播するためそのスローネスは、観測点に向かってCMB上のどの地点で回折波が地表に向け上向に伝播し始めるかに依存する。従ってCMB回折波スローネスは伝播経路全体ではなくCMBを伝わる部分つまりマントル最深部の速度構造で決まる。②回折波のスローネスが周期に依存する「分散」を利用しCMBよりも300 km程度浅い深さ範囲の鉛直方向速度変化を解像できる。これらはマントル最下部構造を解明する上で理想的な特徴である。