近年の社会情勢および社会に対する人々の認識の変化にともなって、法律上に明文規定が存在しなくても、一定の行為を正当(=違法でない)と考えるべき場面が増加しているように見受けられる。とりわけ、通常は犯罪となる行為が行われた際に、当該行為が憲法上の権利・自由や、それに類する利益を保全するためになされたというような事情がある場合には、より慎重な検討を要する。 本研究は、近年のフランスにおける正当化に関する研究領域に特に着目しつつ、ドイツにおける類似の議論状況も参照し、憲法や条約といった上位規範が犯罪の正当化に及ぼす影響について検討する。