本研究は、明治・大正・昭和期におけるトーマス・カーライル(1795ー1881)の政治思想の受容を考察する。19世紀後半から20世紀初頭にかけて、カーライルは大衆政治に批判的な立場を取り、指導者の役割を強調した。その思想が日本の政治構想に与えた影響を分析するとともに、デモクラシーと「英雄」(指導者)の関係を探る。さらに、カーライル思想の受容と変容がヨーロッパから日本、そして東アジアへと広がる過程を検討し、政治思想の越境的影響と歴史的展開を明らかにする。