地域医療における75歳以上高齢者前立腺癌診療の現況 : 山形県北村山地区の結果から

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タイトル別名
  • The clinical status of prostate cancer in elderly patients 75 years of age or older in the Kitamurayama District of Yamagata Prefecture, Japan
  • チイキ イリョウ ニ オケル 75サイ イジョウ コウレイシャ ゼンリツセンガン シンリョウ ノ ゲンキョウ ヤマガタケン キタムラヤマ チク ノ ケッカ カラ

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抄録

1995年1月~2005年12月に新規前立腺癌と診断された206例(年齢49~99歳)を74歳以下(92例), 75歳以上(114例)に分けて検討 した。観察期間は4~517週であった。受診年齢に大きな変化はなく, 受診動機は有症状例が多く75歳以上ではその傾向が顕著で尿閉や転移症状など重篤な 症状も多く認めた。75歳以上ではPSA中央値も高くGleason Score(GS)7以上の症例が多く, 病期C, Dの進行例の割合も高かった。初期治療は待機治療4例, 手術療法32例, 放射線療法3例, ホルモン療法 167例で, リスク分類では待機療法可能な症例は74歳以下が32例(34.8%), 75歳以上が21例(18.4%)であった。尿閉をきたした症例23 例に対するホルモン療法での改善率は60.9%で治療内容別の改善率に有意差はないが, 74歳以下は全例で自己排尿可能となり75歳以上では47.1%と 不良で重篤な有害事象を4例認めた。観察中の死亡は55例で74歳以下が18例, 75歳以上が37例と有意差を認め75歳以上の19例は他因死であり2群 間の疾患特異的生存率に有意差はなかった。ホルモン療法は良好な治療効果の反面, 血栓症や認知症の有害事象を認め, 74歳以下で2例, 75歳以上で8例が QOLを大きく影響する認知症を発症した。以上から, 合併症の多さや社会的問題から高齢者前立腺癌の個別治療の確立および包括的医療の必要性が示唆され た。

収録刊行物

  • 泌尿器科紀要

    泌尿器科紀要 53 (12), 843-849, 2007-12

    泌尿器科紀要刊行会

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