大腸菌走化性シグナル伝達機構 : タンパク質局在と相互作用を中心に(ナノバイオダイナミクス,研究会報告)

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タイトル別名
  • 大腸菌走化性シグナル伝達機構--タンパク質局在と相互作用を中心に
  • ダイチョウキン ソウカセイ シグナル デンタツ キコウ タンパクシツキョクザイ ト ソウゴ サヨウ オ チュウシン ニ

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抄録

大腸菌走化性シグナル伝達系は,全ての構成タンパク質が同定されており,生化学的性質や立体構造に関する情報も蓄積していることから,一つのシステム全体を分子レベルで理解するという課題を追求するうえで秀れたモデル系である.細胞膜に局在する走化性受容体は,おもに膜の外側のドメインで刺激を受容し,細胞質側ドメインでヒスチジンキナーゼCheAと相互作用してその活性を制御する.刺激の有無に関わらずホモダイマーを形成し,アダプタータンパク質CheWを介してCheAと複合体を形成する.近年,この受容体・キナーゼ複合体が大腸菌の細胞膜中にランダムに存在するのではなく,クラスターを形成して棒状細胞の極に局在することがわかってきた.そこで,このクラスター形成により,シグナルの増幅や一定の刺激に対する適応が起こるのではないかと考えられている.私たちは,現在までに,受容体のクラスター形成や下流因子との相互作用に関して,緑色蛍光タンパク質(GFP)との融合タンパク質を用いた解析を行っている.また,部位特異的ジスルフィド架橋を用いた解析により,受容体ダイマー間相互作用を検出し,それがシグナル伝達に関与することを示唆する知見を得た.これらの成果を紹介し,走化性シグナル伝達系におけるタンパク質の局在と相互作用ネットワークの動態について議論する.

この論文は国立情報学研究所の電子図書館事業により電子化されました。

収録刊行物

  • 物性研究

    物性研究 85 (5), 668-684, 2006-02-20

    物性研究刊行会

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