口永良部島火山における最近の地盤変動 -1995年-2001年-
書誌事項
- タイトル別名
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- Recent Ground Deformation at Kuchierabujima Volcano
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抄録
口永良部島火山において1995年から2001年までGPSおよび水準測量による地盤変動測量を実施した。GPS観測のベンチマークは新岳の火口周辺に6点, 新岳・古岳の山麓に6点設置してある。また, 新岳の山麓にはGPS連続観測点がある。水準測量路線は新岳の西麓に8kmにわたって設置してある。GPS観測によって1995/96年から2000年の間に山頂火口周辺の地盤の膨張を示す放射状の水平変位ベクトルが得られた。変位量は山頂部の観測点では2-4cm, 山麓部では1-3cmであった。一方, 1996年から2001年までの上下変動は5mm以下であり, GPS観測により検出された水平変動量に比較して小さいが, 新岳火口から最も遠い点を不動点にすると, 新岳火口方向が隆起している傾向がみられる。上下変動, 水平変動とも1996年から1999年の間に大きな変化が見られ, 1999年から2000年には顕著な変化は見られず, 2000年から2001年の水平変動はやや収縮傾向にある。1999年8月ごろから火山性地震の発生頻度が増加したが, この地盤変動は1999年の地震活動に連動したものかもしれない。1995/96年から2000年までの水平変位を引き起こした圧力源の位置を求めるため, 茂木モデルを仮定して計算したところ, 新岳火口の東500m, 深さ海面下100mときわめて浅い場所に求められた。また, 体積変化は17万m3と計算された。また, 開口割れ目モデルを仮定しても, その圧力源の位置は同様に新岳火口の東500m, , 深さ海面下500mと浅い場所に求められ, 割れ目の走行はほぼ南北, 傾斜角は30゚, 体積変化は41万m3となった。この圧力源の位置は, 空中磁気測量によって検出された磁気異常のソースの位置と一致しジ今回検出された地盤変動は, 新岳東側の浅部に存在する熱水溜りの膨張によって引き起こされた可能性がある。
収録刊行物
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- 京都大学防災研究所年報. B
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京都大学防災研究所年報. B 45 (B), 601-608, 2002-04-01
京都大学防災研究所
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1050001202065328896
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- NII書誌ID
- AN00027784
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- ISSN
- 0386412X
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- HANDLE
- 2433/129040
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- 本文言語コード
- ja
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- 資料種別
- departmental bulletin paper
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- データソース種別
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- IRDB