ブルガリアにおける農業構造および持続可能性へのEU共通農業政策の導入の影響と農業支持政策の評価

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  • Assessment of Farm Support Policies and Impacts of CAP Implementation on Farm Structures and Sustinability in Bulgaria

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抄録

この論文では、EU加盟前夜のブルガリアにおける支配的な農業構造を示し、最近の農業所得支持政策およびEU共通農業政策の導入が農業構造や持続可能性に及ぼす影響について評価する。ブルガリアにおいては、多数の小規模貧困農家とごく少数の大規模農家、協同組合、農企業、そして広範な形態の垂直的統合およびこれらの混合した形態からなる特定の農業構造が支配している。農業への公的支持は近年増大してきてはいるものの、西欧諸国の水準を遥かに下回っている。さらに、ほんの少数の農場だけが公的支持から便益を得ており、その多くは、大規模農家、協同組合、タバコ生産者である。農業は依然として多くの人口にとって重要な所得源である。しかしながら、大中規模の集約的企業と大多数の農場との間には貨幣所得面で大きな格差がある。さらに、開発計画は農業・農村の持続可能性に貢献することは少なく、また、国内における貧富の格差縮小にも貢献していない。ブルガリアにおけるEU共通農業政策導入の短期的影響の評価は、それが、財政的な純便益をもたらし、競争力を高め、環境を改善することによって、農業の持続可能性を増加させることを示している。しかし、直接支払いやその他の支持措置からの主な受益者は開発の進んだ地域の大規模農場である。共通農業政策は、また、既存の形態の農場の活動を拡張する新しい可能性を創造し、生活に新しい組織上の調整をもたらすであろう。これらは全て、より多くの雇用機会や所得機会を生み出し、農業・農村経済を活性化するであろう。他方、効率的な小規模家族農場や畜産農家はEUの資金に預かることは少ない。その結果、(生産部門や地域と関連付けた)特別な補足的措置が採用されないならば、異なる形態の農場間、作物部門間、或いは地域間での所得や経営成果の格差は広がるであろう。さらに、共通農業政策は、非効率で市場反応的でない農場形態(例えば、兼業農家や飯米農家、生産協同組合など)を支持し、それ故、彼らの持続可能性を高め、更なる組織再編を遅らせることになる。最後に重要なことは、共通農業政策やEU基準を導入するのに大きな困難があることである。このCAPやEU基準の導入は他の諸国以上に多くの費用を要し、完全導入が実施されるまでの時間的ラグがあり、その間、貧困かつ自給的農家にはかまってられないということである。

この論文は農林水産省で電子化されました。

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