EU経済の長期的停滞とリスボン戦略

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タイトル別名
  • EU ケイザイ ノ チョウキテキ テイタイ ト リスボン センリャク
  • The Long-term Low Growth of the EU Economy and the Lisbon Strategy

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抄録

EUは, 2004年にポーランド・ハンガリー・チェコなど中東欧諸国を中心とする10ヶ国を, さらに2007年初にはルーマニア・ブルガリアを新たな加盟国として迎え入れ, 現在では27ヶ国から梯成される新たな体制を形成している。EUの「拡大(Enlargement, Widening)」である。一方, EUの「深化(Deepening)」面であるが, 既に「欧州悲法(Constitution for Europe)条約」が調印されているものの, 2005年5月および6月に実施されたフランス・オランダ両国における国民投票により, 両国民は欧州憲法条約の批准を拒否し, 現時点では事実上, 凍結状態にある。こうした批准拒否をもたらせた遠因として, EU経済が長期的停滞から脱することができていない点を指摘することができる。高失業率に対する国民の不満が政府批判となり, この国民投票が政府に対する信任投票となってしまったからである。EU政策当局者も, この点を十分認識しており, 経済活性化のため種々の政策を実施しつつある。本稿の目的は, まず第1に, このようなEU経済の長期的停滞をもたらせた要因について分析することにある。第2は, こうした停滞を打開すべく立案された「リスボン戦略(Lisbon Strategy)」を吟味する。さらに, 第3点として, このような検証を踏まえ, EU経済の今後について展望することにしたい。

収録刊行物

  • 経済学雑誌

    経済学雑誌 107 (3), 35-46, 2006-12

    大阪市立大学経済学会

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