輸出, ライセンシングと外国直接投資

書誌事項

タイトル別名
  • ユシュツ ライセンシング ト ガイコク チョクセツ トウシ
  • Export Licensing and Foreign Direct Investment

この論文をさがす

抄録

本稿は, 技術のスピルオーバーを伴うFDIと固定費契約による技術供与を発展途上国企業の技術導入の代替的方法として捉える。先進国企業は, 輸出と固定費型ライセンス契約による技術供与のいずれかまたはその両方, あるいはFDIで途上国市場に参入することができ, 途上国政府は, 関税政策とFDI政策を用いて先進国企業の選択に影響を与えることができる。このような枠組のもとで, 以下の結論を得る。先進国企業は必ず何らかの形で途上国市場に参入しようとする。そこで, 途上国市場の規模が大きいこと, あるいは技術革新がそれほど革命的でないことは, その技術革新に成功した先進国企業に輸出戦略を選択するインセンティブを与える。また, 関税の引き上げは, 先進国企業が技術供与を行うインセンティブとして機能する。そして発展途上国政府は単純な輸入, あるいは単純な技術供与よりも, 先進国企業がその両方を選択するように関税政策を用いる。一方, ライセンシング戦略とFDI戦略の選択については, 途上国における特許権保護とその市場規模が決定要因になる。特許権が保護される場合, あるいは特許権保護は不十分であるが市場規模は大きい場合には, 先進国企業はFDIを選択する。しかし, このような場合, 途上国政府はFDIよりも, 先進国企業が輸出と技術供与の両方を行うことを好む傾向にあるので, FDI戦略が均衡戦略になるためには厳しい条件を必要とする。

収録刊行物

  • 経済学雑誌

    経済学雑誌 106 (3), 121-143, 2005-12

    大阪市立大学経済学会

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ