『恋の骨折り損』の舞台裏

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タイトル別名
  • コイ ノ ホネオリゾン ノ ブタイウラ
  • コイ ノ ホネオリ ソン ノ ブタイウラ
  • The Background of Shakespeare's Lave's Labour's Lost

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抄録

シェイクスピアは全ての時代を通じて評価されうる文学者であるが、『恋の骨折り損』の場合、時事的言及が多く、その舞台背景を考えた方が理解が深まる。一般に言われているのは、「夜の学派」説というもので、シェイクスピアの保護者のエセックス、サウサンプトン・グループと対立するウォルター・ローリー・グループを揶揄するためにこの劇は書かれたというものである。本論文はこの説の妥当性を検証しながら、さらにその論証の強化を図ったものである。具体的には、アーマードという登場人物と現実のローリーとの類似点、またローリー・グループの研究と劇での風刺との関係の検証を行い、ナヴァール王ファーディナンドという登場人物と現実の第五代ダービー伯爵(ファーディナンド・スタンリー)やナヴァール王アンリとの関係、文学者ジョージ・チャップマン、トマス・ナッシュ、ロバート・グリーンとシェイクスピアとの関係を探った。その結果、「夜の学派」説は大体正しく、このような劇の背景は、劇の文学作品としての普遍性を低めるものではない、と結論した。

収録刊行物

  • 人文研究

    人文研究 57 112-126, 2006-03

    大阪市立大学大学院文学研究科

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