A県の求職者向け公的職業訓練の実態と課題 : 訓練科目に注目して

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  • A ケン ノ キュウショク シャムケケ コウテキ ショクギョウ クンレン ノ ジッタイ ト カダイ : クンレン カモク ニ チュウモク シテ
  • Aケン ノ キュウショクシャムケ コウテキ ショクギョウ クンレン ノ ジッタイ ト カダイ クンレン カモク ニ チュウモク シテ
  • The Actual Conditions and Problems of Public Vocational Training in Prefecture A : Focusing on the subjects

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抄録

2008年のリーマンショック後に, 公的職業訓練が持つ就労支援の機能が強化されている。本稿は従来のように人材育成システムの重要な担い手として公的職業訓練を捉え, 学卒者訓練(公的職業訓練の一部)の重要性を主張するのではなく, 就労支援の一手段として公的職業訓練を捉える。また, 大規模な定員で公的職業訓練を実施しているA県に焦点を当て, 県立訓練校と委託訓練の訓練科目に関する実態と科目設定の課題を論じた。筆者は16件の独自の訓練部局への聞き取り調査などから主に以下の分析結果にたどり着いた。A県県立訓練校では多くのものづくり系科目に34歳以下という年齢制限がかけられるようになり, 35歳以上の訓練希望者への対応が場合によって必要である。一方で, 若者のものづくり離れで, ものづくり系科目が定員割れになっている。訓練科目の設定が訓練部局の課題の1つになっていると考えられる。委託訓練については, 訓練科目がほとんど3ヶ月間の短期で, 科目の変化が少なく, 国の推進している分野の科目が多く設定されている。訓練ニーズの把握の強化と自治体の訓練ニーズを反映した多様な科目の設定が必要であると考えられる。また, 筆者は訓練科目に関連する職種の賃金を複数の条件を付け「賃金センサス」などのデータを用い試算した。多くの訓練関連職種の平均賃金は全産業の平均賃金を下回っている。一定の就職率・科目応募倍率の達成が大事であるが, より適切な賃金につながるような訓練科目を設定し, 少なくとも, 訓練科目設定の際に, 賃金を一つの重要な事項として考慮するのが望ましい。

収録刊行物

  • 経済学雑誌

    経済学雑誌 117 (4), 65-91, 2017-03

    大阪市立大学経済学会

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