中国の文体改革 : 胡適"八不主義"とその展開
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説明
日中両国の文体改革の流れを見ると, ともに外圧的な動きの中で形成されてきた点に類似した面がある.日本の「言文一致運動」は, 明治維新, 外来文化の流入と同時に起こったのではない.中国の文体改革運動の<文学革命>, 清末の洋務運動・辛亥革命以来の洋化運動と直接に連動して始まったものではない.「言文一致運動」が明治二十年代, <文学革命>が1910年代後半と, ある一定の慣熟期間を経て醸成して来た点でもまた同様である.本稿では, <文学革命>のスローガンである, 胡適の"八不主義"の顛末を主として眺めてみたい.すなわち;1916年8月に「寄朱経農」から始まり, 1916年10月の「寄陳独秀」, 1917年2月の「文学改良芻議」(以上三者はアメリカで書かれる)経て・1918年4月叫建設的文学革命論」に至って定稿となる.いずれも八力条からなっており, 「建設的〜〜」で初めて, 文頭に「不上字の冠された"八不主義"が完成する.<文学革命>および"八不主義"は, 様々な問題を内包したスローガンである.アメリカのニュームーブメントを主導したイマジストクリードとの関連も見逃しがたい.ただ中国では, <文学革命>は単に文学の形式を変えるというだけでな<, 「文言と白話の木目克」の解消という文体論的課題を持っている.またそれは, 「五四運動」の先駆として, 数千年来の奥深い文化的側面の改革をも意味しているわけで, とても一日にして論是られるものではない."八不主義"の生成過程を辿ることにとって, そうした一端を考えてみたい.
収録刊行物
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- 早稲田大学日本語研究教育センター紀要
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早稲田大学日本語研究教育センター紀要 10 1-15, 1998-03-31
早稲田大学
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1050001202469497728
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- NII論文ID
- 110000470296
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- NII書誌ID
- AN10088548
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- ISSN
- 0915440X
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- HANDLE
- 2065/2741
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- 本文言語コード
- ja
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- 資料種別
- departmental bulletin paper
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- データソース種別
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- IRDB
- CiNii Articles