北見市常呂川河口遺跡から出土したアイヌ文化期の木質遺物の樹種同定

書誌事項

タイトル別名
  • Identification of wooden remains in the Ainu Culture Period excavated at the Tokorogawa Estuary Site, Kitami, Hokkaido, Japan
  • キタミシ トコロガワ カコウ イセキ カラ シュツド シタ アイヌ ブンカキ ノ モクシツ イブツ ノ ジュシュ ドウテイ

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抄録

北海道東部の遺跡より出土した木質遺物の樹種同定調査例は限られ、とくにアイヌ文化期の知見は乏しい。そこで、北見市常呂川河口遺跡から出土したアイヌ文化期の木質遺物372点について樹種同定を行い、その木材利用の特徴について調べた。計23の植物種・群が同定された。同定を行った木質遺物の多く(372点中276点)は、その形態的特徴に基づいて住居や他の建造物で使用される「土木・建築部材」に分類された。「土木・建築部材」について近隣の別年代の遺跡や同年代の道内別地域の遺跡と比較すると、ヤナギ属が際立って多かった(約40%)。また、近隣の別年代の遺跡と比べると、針葉樹類が少ない(約4%)ことも特徴であった。当時の北海道東部には天然分布しないと考えられるブナ属、カラマツ属が検出された。これらは交易など人間活動により持ち込まれたものと推察された。杭状の丸材について径級別に樹種構成を調べたところ、直径5cm未満の丸材においてはヤナギ属が(43%)、直径5cm以上の丸材においてはコナラ属が(40%)最も多く占めた。杭状試料の先端部の加工法には樹種および径級による特徴が認められた。

収録刊行物

  • 北海道大学演習林研究報告

    北海道大学演習林研究報告 71 (1), 11-37, 2019-05

    北海道大学北方生物圏フィールド科学センター 森林圏ステーション

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