組織変革期における経営理念の機能

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タイトル別名
  • The Capabilities of Management Philosophy in Organizational Transition
  • ソシキ ヘンカクキ ニ オケル ケイエイ リネン ノ キノウ

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抄録

P(論文)

本稿の目的は、経営理念を機軸にした組織変革の有効性を明らかにすることである。そのため、1980 年を境に新たなに移行した組織変革の概念を整理し、Teece が指摘するダイナミック・ケイパビリティを、戦略的組織ルーティンの概念モデルで提示した。次に、1970 年以降の花王の事業活動を事例分析し、組織変革期における経営理念の機能のメカニズムを考察した。ダイナミック・ケイパビリティは3 つの能力から成る。第1 の、機会・脅威を感知・形成する能力は、戦略的組織ルーティンの要素である(a)組織変革があてはまる。ここでの能力は、トップ・マネジメントの能力の影響が大きい。第2 の、機会を活かす能力は、戦略的組織ルーティンの要素の(b)組織学習と(c)意思決定が当てはまる。ここでの能力は、創造的でかつ効率的な組織活動によって生み出される。第3 の、企業の有形・無形資産を向上させ、結合・保護し、必要時には再構成することで競争力を維持する能力は、戦略的組織ルーティンの要素の(d)組織形態があてはまる。ここでの能力は、創造的な組織活動を生み出すフォーメーションの構築と修正によって、組織変革が達成されるものと考えられる。とりわけ、組織メンバー間の相互作用は組織形態により、創発的に生み出されていた。概念モデルによる事例分析の結果、経営理念が組織変革にどのように作用しているのか、SECI モデルに依拠することで、組織変革における経営理念の機能が、部分的ではあるが明らかになった。

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