パターン反転視覚誘発電位でのみ他覚的に視力低下が証明された追突事故症例

書誌事項

タイトル別名
  • 症例報告 パターン反転視覚誘発電位でのみ他覚的に視力低下が証明された追突事故症例
  • ショウレイ ホウコク パターン ハンテン シカク ユウハツ デンイ デ ノミ タ カクテキ ニ シリョク テイカ ガ ショウメイ サレタ ツイトツ ジコ ショウレイ

この論文をさがす

抄録

追突事故後,特記すべき眼科的所見および脳内異常所見がないにもかかわらず,視力低下と霧視の訴えがあった症例に対し,パターン反転視覚誘発電位(pattern reversal visual evoked potentials:PVEP)を施行したところ,異常を認めたので報告する。 症例は62歳男性,追突事故後翌日になって視力低下と霧視を自覚した。事故後8日目の当科受診時視力は,右(0.6),左(0.6)であったが,対光反応,眼位,眼球運動,前眼部所見,眼底所見に特記すべきことはなかった。また限界フリッカー値(黄色)も正常範囲内であり,視力と眼所見が一致しなかった。MRI検査では,小脳後頭蓋窩の巨大くも膜嚢胞が発見されたが,先天性のもので周囲への圧迫所見はなかった。心因性視力障害や詐病も念頭に入れPVEPを行いその結果,steady-state PVEP ではすべてのチェックサイズ刺激において電位が小さく平坦型をしており,transient PVEP では著しく潜時が延長していた。 外傷後の視力低下は,心因性のものか軽度脳損傷が原因であるのか診断が困難である。PVEPは他覚的な検査所見として鑑別診断に有用な検査であり,本症例では外傷後なんらかの視覚路の機能異常が示唆された。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ