Acinar Cell Cystadenoma の一例

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抄録

症例は53歳男性,膵嚢胞を指摘され当院へ紹介。腹部造影CTで膵尾部に15cm大の造影効果のない単房性嚢胞を認めた。腹部MRIではT1強調画像で低信号,T2強調画像で高信号であり,主膵管との交通は指摘できなかった。超音波内視鏡検査でも充実性成分や血流はなかった。以上より膵漿液性嚢胞性腫瘍を考え,膵体尾部切除術を施行。病理所見にて,嚢胞壁は異型のない腺房細胞で裏装され,trypsin染色に陽性を示した。Ki-67 proliferative indexは1%未満であり,acinar cell cystadenoma(ACA)の診断に至った。本症例は他疾患にて13年前に腹部造影CTを撮像され,膵臓には病変は指摘されておらず,後天的に発生し経時的に増大したと考えられる。ACAは稀な膵臓の上皮性良性腫瘍であるため,臨床的特徴,疫学,自然史等の詳細の更なる集積が必要と考えられる。

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