日本の中小企業における労働組合が雇用条件に与える影響
説明
本稿では中小企業のデータを用いて、労働組合が週所定労働時間、従業員一人当たりの年次有給休暇の付与日数、取得日数、賃金上昇、残業時間などに与える効果を分析した。その結果、労働組合が存在すると、週所定労働時間を減少させ、有給休暇の付与や取得を促進し、賃金を上昇させる効果が存在した。一方、労働組合が残業時間を減少させる効果は全く観察されず、むしろ労働組合が存在することと、残業時間が月60時間を超える人が毎月いることには正の相関すら観察される。この結果は、労働組合は従業員の労働条件の一律的な向上に対しては有用であるが、残業時間のように職務の再配分を伴うような従業員同士の利害調整に関しては十分な機能を有していない可能性を示唆する。
収録刊行物
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- 経済研究所 Discussion Paper
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経済研究所 Discussion Paper 289 2017-12-01
中央大学経済研究所
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1050001202698103808
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- 本文言語コード
- ja
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- 資料種別
- departmental bulletin paper
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- データソース種別
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- IRDB