覚書・事業の公共性に応える会社法―医療を事業とする株式会社を想定して―

書誌事項

タイトル別名
  • Research Memorandum: There can be a limited liability company that run a hospital - Companies Act can support it, but Better Regulation will be more needed then ever -
  • オボエガキ ・ ジギョウ ノ コウキョウセイ ニ コタエル カイシャホウ : イリョウ オ ジギョウ ト スル カブシキ ガイシャ オ ソウテイ シテ

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説明

株式会社の法令遵守を考える。  医療を主たる事業として営む株式会社(これを仮に「医療株式会社」と呼ぶ)を想定すると、現行医療法によれば、医療株式会社に病院の開設はできないとされている。しかし私は、株式会社が医療という公共性の強い事業を営むことを認めないとの取扱いは維持できないと考える。  ただしこれを認めるための条件は、医療関連規制の実効性を強め、株主の短期主義を抑制する方向付けを活用しつつ、医療株式会社が、過小投資の防止、過剰診療の禁止、応招義務の履行といった「医の倫理」を実現する前提を整備することである。  現在、保険医療機関に対する規制を除くと、法令に実効性が伴うとは言えず、医療経営体一般の「医の倫理に悖る経営」の抑止に困窮するかのようである。この状態は、医療関連の規制が、医療株式会社か医療法人かという経営体に左右されることがらではなく、端的に十分でないことを示す。  公共性の高い事業を株式会社が営むことに本質的な制約はなく、法令を遵守させ、営利性に伴う弊害を防ぐのは独り会社法の役割ではなく、実効ある各種の法令と会社法との協働である。

収録刊行物

  • 法学新報

    法学新報 121 (7・8), 135-162, 2014-12-22

    法学新報編集委員会

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