伝統文化における「風流」の美 ―魏晋南北朝時代と室町桃山時代を中心に―

書誌事項

タイトル別名
  • The Beauty of Fūryū in Chinese and Japanese Traditional Culture:An Approach for the Taste and Refinement from the Six Dynasties and the Muromachi-Momoyama Period

抄録

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「風流」は美意識であり,中国の六朝時代の文人たちの詩文,生き方を語るときに用いられる言葉である。本論文は,中国の魏晋南北朝時代と日本の室町桃山時代を中心に,美意識としての「風流」を考察し,両国の共通点と相違点を明らかにして,さらに日本の茶道に代表されるような伝統文化の神髄と日本人の美意識を探った。中国の「風流」は,人格美の実現,自由奔放な生き方,自然との調和,人生の芸術化,世俗を超越する境地を目指していた。この「風流」の美意識は日本に伝わり,万葉時代の「みやび」から,中世では,「型」にはまるような飾り付けの風流になった。近世になると,一休禅師の影響で,禅的な要素が強くなり,「風流」は「本来無一物」から発し,「わび」「さび」の「風流」を生み出した。禅的な「わび」の「風流」は今日まで継がれてきた。今,この心が忘れられる「忙」の時代に,「風流」が人々の心を魅了している。

収録刊行物

  • 人文研紀要

    人文研紀要 86 191-225, 2017-09-30

    中央大学人文科学研究所

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