「大日本海外教育会」に関する一考察

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タイトル別名
  • A study on “Dainihon Overseas Education Association”
  • 「 ダイニホン カイガイ キョウイクカイ 」 ニ カンスル イチ コウサツ

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抄録

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近代日本における海外教育事業を標榜した大日本海外教育会は、先進教育の普及と文化を伝えるという大義名分をもち、日本国是の対外膨張主義に向かって尽力した教育団体で、特に朝鮮の近代教育のために活動した。勿論大日本海外教育会の朝鮮教育事業は、朝鮮半島を巡る宗主国を主張する清国と、大陸進出の足場を目指す日本との葛藤が、徐々に顕在化する中で行われたということから言えば、日本の朝鮮進出の事前布石の一環として成された面が大きい。また、「朝鮮問題」と関連しては、朝鮮進出の前衛部隊とでも言うべき性格を持ち合わせた政治団体でもあったとみるべきであろう。しかし、「朝鮮教育近代」という側面から見れば、日本の近代的な学問の普及と西欧の新思想を教えることにより、朝鮮の若者らに朝鮮の自主的独立と近代化へ目を向けさせるような、多大な影響を与えたと思われる。さらに、劣っていた朝鮮の教育環境にも、良くも悪くも一定の役割を果たしたものとして評価するべきであると思われる。

収録刊行物

  • 法学新報

    法学新報 121 (9・10), 233-257, 2015-03-10

    法学新報編集委員会

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