The European Convention on Human Rights and the United Kingdom's Supreme Court

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  • 欧州人権条約と英国最高裁判所
  • コウエン オウシュウ ジンケン ジョウヤク ト エイコク サイコウ サイバンショ

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本講演の目的は,2010年に新たに設置された英国最高裁判所が欧州人権条約をどのように解釈,適用していくべきかという問題を考察することである。英国では,1998年人権法により欧州人権条約の実体条項を事実上の国内法化し同法を介して人権条約を国内裁判所において解釈適用する体制が整えられた。英国の裁判所は,貴族院上訴委員会の時代から欧州人権裁判所の判例法を解釈,適用する際に,国内裁判所は,人権裁判所の判例法の解釈基準を「それ以上でもなく以下でもなく」適用することを任務としてきた。これは「ウルラ原則」と呼ばれている。しかし,本講演でディクソン教授は,欧州人権裁判所の判例法の縛りに拘泥されることなく,国内裁判所(特に最高裁)は欧州人権裁判所の設定した水準よりもより広くかつ豊かな内容を1998年人権法の解釈に際して採用することもできると主張している。このような立場は,欧州人権条約でも認められており,また「補完性の原則」にも完全に一致しているとする。各国法の多様性をある程度認めつつ,より豊かな欧州人権法を構築していくためには,ディクソン教授の指摘は有用である。

Journal

  • 比較法雑誌

    比較法雑誌 48 (2), 15-46, 2014-09-30

    日本比較法研究所

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