楽曲の物語性と造形表現との関連性についての一考察 ― F.Liszt の作品から ―

書誌事項

タイトル別名
  • A Study of the Relationship between the Narrative in Music and Fine Arts ― From the Work of F.Liszt ―
  • ガッキョク ノ モノガタリセイ ト ゾウケイ ヒョウゲン ト ノ カンレンセイ ニ ツイテ ノ イチ コウサツ : F.Liszt ノ サクヒン カラ

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抄録

F.リストは,C.ツェルニーからピアノを,サリエリとランドハンチンガーから作曲法を学び,さらに修行を重ねるために,弱冠12歳のとき故国ハンガリーを離れてパリに赴いた。そして,ドイツ,ロンドン,スイスなどを訪れ,各地で,その超絶的なテクニックを駆使した演奏を絶賛された。彼の名前は,一躍脚光を浴びるようになっていった。しかし,そういった技巧だけがリストの持ち味ではない。パリでは,文豪ヴィクトル・ユゴー,詩人ラマンティーヌ,女流作家ジョルジュ ・サンド,そして,ショパン,メンデルスゾーンらを知った。特に文学者たちとの出会いは,リストにとって大変有意義であった。のちに彼らの影響がリストの作品のなかに濃厚にあらわれているからである。リストが伝えたいのはヴィルトゥオーゾではなく,あらゆる音によって表現される情景やストーリーなのである。また,彼の標題音楽における物語は,楽曲の背景となる詩に色彩感を伴う場面を意識することで,演奏において楽曲の特徴をより際だたせることに繋がる。音楽形式と標題による言語学的手段の使用は,象徴表現法にはなくてはならないものである。さらに,物語性と造形表現に焦点をあて,芸術教育を視野に考察する。

収録刊行物

  • 中国学園紀要

    中国学園紀要 11 149-154, 2012-06-16

    中国学園大学/中国短期大学

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