EUの結束政策と越境地域間協力の展開

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  • EU ノ ケッソク セイサク ト エッキョウ チイキ カン キョウリョク ノ テンカイ
  • Cohesion Policy, the Lisbon Agenda, and Interreg in EU

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抄録

EUの結束政策(地域政策)は、EU拡大と市場統合の深化にともなう共同体内部の地域格差の拡大を是正する再分配政策として発展してきた。共同体予算の約三分の一をしめる結束政策の特徴は、政策の立案、施行、評価という政策過程に、超国家的機関であるEUとその執行機関である欧州委員会、加盟国政府、地域および地方の政府が参加する制度的仕組み(マルティレベル・ガバナンス)が作られていることである。このマルティレベル・ガバナンスによる結束政策の立案と実施がもっとも進展しているのは、欧州委員会の主導によって推進されている共同体イニシアティブのなかのInterreg(越境地域間協力)プログラムである。興味深いことは、Interreg予算による国境隣接地域の越境協力プログラムの立案と実施がユーロリージョンと呼ばれるミクロ的社会統合の試みと連携していることである。しかし、2007~2013年度からの新しい結束政策の方針では、結束政策は「競争力と雇用」を優先目標とするリスボン戦略実現のための政策として位置づけられている。越境地域間協力は再分配としての性格から人的能力とイノベーションへの投資という性格に転換しつつある。

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