1790年代英語圏における《革命》概念 : バーク対ペイン論争の一断面

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  • 1790ネンダイ エイゴケン ニ オケル カクメイ ガイネン バーク タイ ペイン ロンソウ ノ イチ ダンメン
  • Conceptions of "Revolution" in the English-Speaking World of the 1790's : An Aspect of the Burke-Paine Controversy

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抄録

これまでのバーク研究は,政界進出以後のバークを,フランス革命勃発を境に二分 ―国王ジョージ3世の専制を批判し,政党政治の確立による議会政治の健全化を唱え,アメリカ植民地の主張に理解を示した「自由主義者」=「前期」バーク,それに対して,容赦ないフランス革命批判を展開した「保守主義者」=「後期」バーク― し,「両者は連続しているのか断絶しているのか,連続しているのなら両者を貫く基本的原理は何か」を問うこと,いわゆる「バーク(のコンシステンシー)問題」を研究上のスタンダードな図式としてきた。最近の内外の研究動向としては,「consistent Burke陣営」が優勢なように見受けられるし,筆者も概ねその陣営を支持している。しかし,「バークは名誉革命とアメリカ革命を擁護した時と同じ論理によってフランス革命を論難した」とする「consistent Burke陣営」の理解には,重大な事実の見落としがある。すなわち,バークはアメリカ植民地の独立を「革命」とは呼ばなかった,という事実である。なぜバークは同じ原理によって擁護したはずの二つの歴史的事件―1688年と1776年―のうちの一方だけを「革命」と呼びもう一方をそう呼ばなかったのか? 他方,バークの論敵ペインは, 1776年と1789年を二つながら「反革命」とも呼んだ。本稿では,こうした18世紀末英語圏の「革命」概念の錯綜性を焦点にして,バーク対ペイン論争に新たな一筋の光を投げかけてみたい。

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