書評 角田猛之著 『戦後日本の〈法文化の探究〉 ― 法文化学構築にむけて』

書誌事項

タイトル別名
  • 角田猛之著『戦後日本の<法文化の探究>--法文化学構築にむけて
  • ツノダタカシチョ センゴ ニホン ノ ホウブンカ ノ タンキュウ ホウブン カガク コウチク ニ ムケテ
  • Book Review: Tsunoda Takashi, Inquiry into the "Theory of Legal Cultures" in Postwar Japan

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抄録

本書の概要を紹介する前に、憲法学専攻、比較憲法研究をその主たる研究対象とする者が、なぜ本書の紹介・書評をおこなおうとするのか、という疑問に答えておきたい。まず、第一に、本書の内容が日本における憲法学研究、および比較憲法研究に欠かせない考察アプローチと視点を提示するものだからである。憲法解釈論にとっても同様である。 第二に、マイノリティ研究(広義の)に関心をもち、深くかかわってきた者にとって、本書が扱う内容、テーマはいずれも重要であり、その考察から得る示唆は貴重である。そして、第三に、これが最も痛切に感じたことであるが、新たな研究分野の開拓とその方法論の確立(本書では 「法文化学」)を明確に志向し、そのための着実な研究成果を積み重ねた集大成としての本書は、 伝統的・通説的な法学研究からの「離陸」、近年では「マイノリティ研究」方法論の構築を模索 する者にとって大きな励みともなるものだからである。本書は、角田猛之教授(以下、敬称を略し「角田」と略記させていただく。他の方々も同様 に敬称を略記させていただく。)が、1999年から2009年までの約10年間に公表した諸論文をベースにまとめた「法文化」に関する論文集である。「あとがき」にもあるように、それらを「かな り加筆・修正し、法文化と法文化学に関する総論たる『序』章を付したうえで、2部に編成して一書にまとめたものである。」以下、それぞれの章ごとの内容を紹介してみたい。

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