『うつほ物語』「楼の上」巻・京極邸の庭園造詣 : 子の日の松といぬ宮造型から

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タイトル別名
  • A study of constitution of the garden in Kyogoku-tei in "The tale of Utsuho" : the central point of the relation between the image of Inumiya and the old pine tree
  • ウツホ モノガタリ ロウノウエ カン キョウゴクテイ ノ テイエン ゾウケイ : ネノヒ ノ マツ ト イヌミヤ ゾウケイ カラ

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抄録

論文(Article)

要旨:「楼の上」巻では、仲忠の京極邸再興といぬ宮への秘琴伝授、そして二院行幸が行われる。庭園には「唐傘の柄さしたるやう」な滝と、嵯峨院ゆかりの桜や子の日の老松があり、院の共感体として京極邸の歴史をもの語る。いぬ宮関連の儀礼歌には、「姫松」の喩が繰り返され、百日の祝いは嵯峨院大后の六十賀と同じ正月乙子の日に当たる。賢く長命な大后の造型は、嵯峨院同様、秘琴伝授を見定める視点人物であり、いぬ宮の一将来像としてある。また、物語には大樹の下に「円居」する君臣和楽の情景が繰り返し語られる。京極邸の庭園造詣も、大滝、楼閣、大樹群を縦軸に、枝を大きく張る樹形を横軸にとる立体構造をなし、これは、いぬ宮成長後、京極邸に展開するであろう君臣関係の理想型を具現化、予祝したものと考えられる。また、仲忠の二院への忠勤ぶりは、公式行事化した京極邸再興と秘琴伝授が脅威性を孕むことを示している。 キーワード:京極邸庭園, 子の日の松, いぬ宮造型, 嵯峨院, 嵯峨院大后造型

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