キリシタン資料のゲズとその方言性

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  • キリシタン シリョウ ノ ゲズ ト ソノ ホウゲンセイ

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キリシタン資料のバレト写本(1591写)には、カラタチを意味するゲズという語が見え、これが文献上での最古の用例と考えられる。文献からは、18世紀以来、ゲズはカラタチの九州方言であったことがわかる。バレト写本以外に近世より前の用例を見出すことはできないが、現在、「枳殻」「枳」をゲズ等と読む地名や姓が九州を中心に偏って分布しており、他の地域に名残も見あたらないことから、ゲズはかなり特定の地域に偏った語であることが窺える。『日本国語大辞典』第二版ではゲズをカラタチの古名とするが、むしろバレト写本の時代から方言であったと見るのが妥当であろう。バレト写本に現れるゲズの例は、方言に対して意識的であったはずのキリシタン宣教師が、それと気付かずに使用した方言の例と考えられる。

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