小倉金之助の関数観念についての考察
この論文をさがす
説明
本研究は、数学教育改造運動の重要な人物の一人である小倉金之助が、どのように関数教育を捉えていたのか、特に小倉の中心思想である「関数観念」について考察することを目的とする。考察の結果、次のような結論を得た。小倉の科学的精神は、あくまでも「国民大衆の幸福のために、科学の革命性を守りぬこうという」立場にたった言葉であり、その言葉の中には「自由」「独立」「幸福」という深い意味がこめられており、その真髄は実にここにある。そして「数学上に形となって表れた科学的精神」である関数観念(常識の基調をなすもの)は当然のこととして重要なものとなる。小倉はこの関数観念を新カント派やポアンカレイや数学史を動員してその認識構造を明らかにした。その構造の中でも特に直観を重視した。このように考えてくると、小倉の関数観念は、単に「常識の基調をなすもの」というだけでなく、それを通して、その中にはすでに「自由」「独立」「幸福」につながる深い意味がこめられていることになるのである。
収録刊行物
-
- 数学教育論文発表会論文集
-
数学教育論文発表会論文集 33 181-186, 2000-11-25
日本数学教育学会
- Tweet
詳細情報 詳細情報について
-
- CRID
- 1050001202938288000
-
- NII論文ID
- 110007173699
-
- NII書誌ID
- AN10466088
-
- HANDLE
- 10076/10527
-
- 本文言語コード
- ja
-
- 資料種別
- journal article
-
- データソース種別
-
- IRDB
- CiNii Articles