三重県の 1 施設における慢性血液透析患者の臨床的検討― 35 年間の経時変化と現状 ―

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当院は 1971 年血液透析を開始し 2005 年末で 35 年経過した. この間の総患者数 1,169 例を対象に, 導入原因疾患, 導入年齢, 生存率, 死亡原因の推移を日本透析医学会の行っている全国統計調査と比較し, さらに慢性糸球体腎炎 (CGN), 糖尿病性腎症 (DN) の 2 群に分けて比較検討した. その結果, 導入原因疾患において DN は全国平均以上の増加で, 2005 年末の透析患者における原疾患は DN が CGN とほぼ同率となった. 導入時平均年齢は 35 年間で 25 歳高齢化し, 当初 CGN と DN で年齢差がみられたが, CGN 患者の高齢化により近年では両群とも 65 歳前後と差がなくなっている. 透析年数は 2005 年末の透析患者でみると, 5 年未満が 55.5%を占めている. CGN の平均透析年数は 10.9 年であるのに対し, DN は 3.8 年であった. 近年, 長期生存率の低下がみられ, 10 年生存率は CGN 54.6%であるのに対し DN は 22.4%と予後不良であった. 透析患者の主な死亡原因では, CGN 及び DN ともに心不全死の減少がみられたが, 最近の傾向として DN の感染症死, 及び CGN の尿毒症死が著明に増加していた. 今後生命予後の不良な糖尿病患者の感染症対策, 及び高齢者の透析管理が課題と考えられた.

収録刊行物

  • 三重医学

    三重医学 51 (1-4), 1-8, 2008-03-25

    三重大学医学部

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