英雄叙事詩とシャマニズム 2 : 中央ユーラシアの叙事詩語りとシャマン

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  • Heroic Epics and Shamanism (2) : Epic Singers and Shamans in Central Eurasia

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抄録

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本稿では、先稿に引き続き、中央ユーラシアのテュルク系諸民族に伝わる英雄叙事詩とシャマニズムとのつながりについて論じる。英雄叙事詩に登場する主人公の勇士が、聖鳥に乗って上昇飛翔したり、ジン(精霊)や肩甲骨を使って卜占を行ったりする様は、シャマンの職能行為と酷似する。イスラーム化が進行した地域においても、シャマニズムはイスラームと習合しながら、大きな役割を果たし続けてきた。英雄叙事詩は、「最初のシャマン」とされる人物コルクトが創出したとされる弦楽器コブズの伴奏をしばしば伴うが、コブズをもちいたシャマンの巫術は20世紀末までも行われていた。英雄叙事詩には、シャマンの「祝詞」の一節と酷似するフレーズが歌われることさえある。また、叙事詩の語り手やシャマンになるうえで、夢が大きな意味をもつといった共通点もある。叙事詩の語り手が、叙事詩をもちいながら治療を行うという実例も報告されている。このように、叙事詩語りとシャマンが重なる点は多い。

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