がん治療におけるがん患者への短期回想法の適用

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タイトル別名
  • ガン チリョウ ニ オケル ガン カンジャ エ ノ タンキ カイソウホウ ノ テキヨウ
  • An application of Short-Term Life Review Interviews to the treatment for cancer patients under doctor's care

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抄録

本研究の目的は,がん患者に短期回想法を適用し,その語りを内容分析することにより,スピリチュ アリティの表出の有無を確認するとともに,スピリチュアルケアとしての短期回想法の有効性を示す ことにある。がん専門病棟にて治療中のがん患者2名を対象とした。指標は,スピリチュアリティを 評価するものとしてFunctional Assessment of Chronic Illness Therapy-Spiritual(FACIT-Sp 日本版,以下FACIT-Sp)と抑うつや不安を評価するものとしてHospital anxiety and depression scale(以下 HADS)を使用した。1回目の面接の際「人生で大切にしていること」「人生で一番楽しかった時期」「人生で果たした役割」「誇りに思うこと」「病気の意味」について質問し,患者に自由に語ってもらった。対象者いずれも,当初よりFACIT-Sp 得点が高く,尺度得点上は回想前後で大きな変化がなかった。1名のみHADS得点が回想後に15点より3点に低下し,回想法により抑うつ・不安に効果があった。質問が進むに従って,自分の人生を改めて振り返り,肯定していった。がんを受け止め,前向きに生きていこうとする旨の発言が増えたことにより,そのことからスピリチュアリティが表出されたように思われる。これらの結果より,治療中のがん患者にとって短期回想法がスピリチュアルケアの手段として有効である可能性が示唆された。

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