林床無脊椎動物の現存量について

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タイトル別名
  • On the Biomass of Invertebrates in Forest Floor
  • リンショウ ムセキツイ ドウブツ ノ ゲンソンリョウ ニ ツイテ

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抄録

森林の落葉層および土壌中に棲息する微小な無脊椎動物の個体数および現存量の調査を行なった。調査は1963 - 64年に, 大台ヵ原山 (奈良) のトウヒ林, ウラジロモミ林, ブナ林, ブナ-シヤクナゲ林, 柏木 (奈良) の常緑広葉樹林, 大文字山 (京都) の常緑-落葉混交樹林, 芦生 (京都) のブナ林, ミズナラ林, 木曽駒ヵ岳 (長野) のアカマツ林, オオシラビソ林, 川内 (鹿児島) の常緑広葉樹林, Phu Kradung (タイ国東北部) のマツ林, 常緑広葉樹林, 落葉混交樹林等で行なった。各林分に1m_2のプロットを作り, その中の目に見える程度の大形の動物をピンセットで採集した。ピンセットで採集不能の小形動物は20cm×20cmのプロットからのサンプルを持ち帰り, ファンネルを使用して採集した。1. 大形動物 大形動物の個体数は常緑広葉樹林, 常緑-落葉混交樹林に多く (80 - 220), 大台ヵ原山の4林分では少なかった (50以下)。これらはまた, 同じ大台ヵ原山の林分でも針葉樹林よりも広葉樹林に多いようであった。2. 全現存量 現存量も上と同じ傾向が見られた。すなわち, 山地よりも低地に多く, 針葉樹林よりも広葉樹林に多かった。季節的な変動をみると, 大台ヵ原山の4林分および柏木の常緑広葉樹林では8月に最高に達しているが, 京都大文字山の常緑-落葉混交樹林では8月に減少している。これは, 京都では8月に非常に乾燥していたためであろうと考えられる。3. 総個体数 トビムシとダニが常に全体の80%以上を占めていた。トビムシ個体数の全体に対する比率 (C_p) とダニのそれ (A_p) を両軸にとったA_p-C_p図を描いた。A_pは Phu Kradung の5林分で最も高く (66 - 86%), 大台ヵ原山のトウヒ林・ウラジロモミ林, 木曽駒ヵ岳の2林分で最も低かった (10 - 40%), C_pはこれと全く逆の傾向を示し, Phu Kradung では22%以下, 日本の針葉樹林ではほとんどが60%以上であった。これからA_pは高温・乾燥の環境下で高くなり, 逆にC_pは低温・湿潤の環境で高くなるといえるようである。季節的に全個体数の変動を見ると10月に多くなるようであった。

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