ツキノワグマの保護と森林への被害防除 (I)

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タイトル別名
  • Conservation of Wild Bears and Control of it's Damage to Forest Trees. (I)

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抄録

京都大学芦生演習林においてツキノワグマの保護と森林への被害防除の基礎研究としてつづけてきた 1. 天然林におけるツキノワグマの越冬可能な樹洞 (越冬穴) の数, 2. 円座, 3. クマハギ被害木の直径, 被害木の分布, 4. 捕獲時刻の記録, 5. 忌避剤の効果についての調査結果をとりまとめた。1. ツキノワグマの越冬に利用された樹洞あるいは使われる可能性のある樹洞, 岩穴は天然林でも10haに1つくらいであった。2. 円座はウワミズザクラ, スモモ, ミズキ, カキ, クリ, ミズナラ, コナラ, ウラジロガシ, カナクギノキなど, 実のなる木に8月上旬より12月上旬まで観察できる。顕著な例がみられるミズキでは胸高直径12 - 53cmのものに円座がつくられた。また, 年によって円座のつくられるミズキに変動があったが, これはミズキの結実の豊凶と関係するようであった。3. クマハギの被害は主として胸高直径20 - 30cmのものに現われる。被害木は一度に多くて10本程度が選ばれ, その被害木はお互いに接していることが多い。4. 捕獲檻に電池時計を設置しクマの捕獲時刻を記録したところ, 午前5 - 8時と午後5 - 11時の間のみで, 日中, 深夜の記録は全くなかった。ツキノワグマの行動のパターンを示すものではないかと思われる。5. 忌避剤シクロヘキシイミドおよびフェノール系化合物はクマを誘引し, クマハギ防除のための忌避効果は十分でなかった。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1050001335799521152
  • NII論文ID
    120005515762
  • NII書誌ID
    AN00061068
  • ISSN
    0368511X
  • HANDLE
    2433/191564
  • 本文言語コード
    ja
  • 資料種別
    departmental bulletin paper
  • データソース種別
    • IRDB
    • CiNii Articles

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