スギ樹幹に含まれる微量元素の各種抽出操作による移動性

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  • Mobility of Trace Elements in Stem of Sugi (Cryptomeria japonica D. Don) by Some Simple Extraction Methods.
  • スギ ジュカン ニ フクマレル ビリョウ ゲンソ ノ カクシュ チュウシュツ

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抄録

スギ (Cryptomeria japonica D. Don) の樹幹に含まれる微量元素のうち, 含有率が高く, 分析精度の高いK, MgおよびCaについて, 数種の簡単な抽出操作によって抽出される元素量を定量し, その抽出の難易から存在状態について考察した。試験片を圧搾して樹液を採取した後, ミクロトームにより100μmの木口切片とし, 冷水 (30℃), 冷メタノール (30℃), 熱水 (沸点), アルコール・ベンゼン混合溶液 (沸点) などによる抽出を行った。得られた樹液, 抽出液, 抽出後の切片に含まれる元素を原子吸光法あるいはフレーム分光法により分析した。樹幹全体に含まれる元素量のうち樹液中に存在する各元素の割合はK>Mg>Caの順で、あり, またいずれの元素も辺材の方が心材よりも樹液中の存在割合が小さかった。樹液圧搾後に樹幹中に残存するKは冷水抽出によってほとんどすべて取り出された。また冷メタノールによる抽出速度は冷水抽出に比べるとかなり遅かった。MgとCaは冷水での抽出量は少なかったが, 引き続いて行った熱水抽出によりほとんどすべてが抽出された。冷メタノールによる抽出量は冷水抽出に比べると少ないが, 初期段階で抽出されるMg, Caの割合は水抽出のそれよりも大きいことから, メタノールによって容易に抽出される部分があることが示唆された。またこれらの元素は心材の方が, 辺材よりもいずれの抽出法によっても抽出されにくかった。この一因として, 心材成分による固定あるいはブロックが予想されたが, アルコール・ベンゼン抽出を行った場合も, その後の水抽出による抽出量が増大することはなく, 心材成分によるこれらの元素の抽出阻害の可能性は低い。これらの元素はナトリウムぞ含む各種水溶液でイオン交換により容易に抽出されることが判明した。

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