白井晟一住宅作品における床の間の意匠について -同時代の建築家による事例との比較から-

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  • 羽藤, 広輔
    京都大学大学院 人間・環境学研究科 共生文明学専攻

書誌事項

タイトル別名
  • The Design of Tokonoma in Seiiti Sirai's Houses --In Comparison with the Works of Contemporary Architects--
  • ハクイセイイチ ジュウタク サクヒン ニ オケル トコノマ ノ イショウ ニ ツイテ : ドウ ジダイ ノ ケンチクカ ニ ヨル ジレイ ト ノ ヒカク カラ

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抄録

本研究は, 白井威一(1905-1983)の住宅作品における床の間の意匠について, 同時代の建築家による事例との比較を通じ, その変遷と意義を考察するものである. 床の聞は, 近代の建築家達がその現代的意義に関心をもち, 日本文化の独自性を見出す格好の対象であった. 昭和期住宅史において和風を手がけた代表的建築家と捉えられ, かつ特異な存在とされてきた白井の床の間の意匠形式は, およそ4つのタイプに分類することができる. 中でも特徴的なものは, タイプBやCにおける, 床の間の落掛が座敷全体の空間構成につながっていく例であった. これは, 室内に天井の高い部分と低い部分をつくり, 空間を分節する落掛と, 床の間の落掛が融合したものと考えられる. 白井は床の間の原形を, 西欧・日本の建築双方においてその場に神霊さを与える祭壇の形式に見ていた. 白井による床の間のデザインの変遷は, 具現化の過程におけるその思索の深まりを示していると言えよう.

収録刊行物

  • 人間・環境学

    人間・環境学 22 93-107, 2013-12-20

    京都大学大学院人間・環境学研究科

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