<論説>ブラウロンのアルクテイア再考 : アルテミスへの奉納行為を手掛かりに

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  • 小山田, 真帆
    京都大学大学院文学研究科修士課程 (古代ギリシア史を専攻)

書誌事項

タイトル別名
  • <Articles>A Reconsideration of the Maturation Rite for Girls in Classical Athens: The Functions of the 'Arkteia' and Dedication to Artemis in Brauron
  • ブラウロンのアルクテイア再考 : アルテミスへの奉納行為を手掛かりに
  • ブラウロン ノ アルクテイア サイコウ : アルテミス エ ノ ホウノウ コウイ オ テガカリ ニ

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抄録

古典期アテナイにおいて, 未婚の少女は様々な宗教的役目や儀礼に従事していた。本稿はそのなかでも, アッティカ地方のアルテミスの聖域ブラウロンで行われた「アルクテイア」に注目する。アルクテイアは一般的に女子の成熟の儀礼であったと考えられているが, 文献資料の乏しさとそこに見られる相互に矛盾する記述から, 儀礼の基本的な参加条件や機能について多くの議論が交わされてきた。本稿では, アルクテイアが少女の性的成熟を表す儀礼であったことを再確認すると同時に, 後世の史料に基づいて付されてきた5~10歳という参加条件を支持しがたいものとして退ける。そして, アルクテイアは比較的富裕な家庭の少女が参加する儀礼であり, それによって少女たちは象徴的に結婚可能な状態になったことを示した。さらに, ブラウロンにおける女性による奉納行為とアルクテイアがどのような関係にあったかを考察し, ブラウロンで行われていた儀礼と奉納を含む宗教行為全体が, 当時の女性らしい生き方のイメージを女性たち自身に内面化させる機能を持っていたと結論付ける。

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