<五十音思想>の素描-『五十音和解』をめぐって-

この論文をさがす

抄録

Article

近世国学史もしくは国語学史といったアカデミックな研究の文脈の中では、秘教的言霊論や神代文字論は、これまであまり問題にされてこなかったと言ってよい。無論、論壇史学あるいは日本思想史研究の文脈では、それはある程度対象化されてはきた。ただ、私は日本思想史研究という立場の有する外在性なり客観性なりが、ある場面においては有効であっても、文学や文献学の実践を中核としてきた国学に対するアプローチにおいては、必ずしも当を得ていると思えない部分も感じるのである。そうした曖昧な不満を比喩的に言うならば、例えば、日本浪曼派なら日本浪曼派を現時点から批判することは極めて容易であるにしても、その当時、日本浪曼派が持っていたリアリティーは打ち消せないだろうということである。

収録刊行物

  • 文芸研究

    文芸研究 95 43-66, 2005-02-28

    明治大学文芸研究会

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ