アイルランド大飢饉と歴史論争 - 「ミッチェル史観」の再評価をめぐって -

書誌事項

タイトル別名
  • アイルランド ダイキキン ト レキシ ロンソウ - 「ミッチェル シカン」 ノ サイヒョウカ オ メグッテ -
  • Airurando daikikin to rekishi ronso - "Mitcheru shikan" no saihyoka o megutte -

この論文をさがす

説明

type:text

アイルランドはイギリスと特殊な関係にあったため,歴史解釈も政治状況にしばしば影響されてきた。大飢饉研究は,その典型であった。民族主義史観の源流となったジョン=ミッチェルによれば,大飢饉の惨状はイギリス政府の自由放任主義がもたらした人災であり,ジェノサイドであった。修正主義史観の台頭によって大飢饉のこうした悲劇的解釈は後退したが,近年の研究はミッチェルの言説を再評価する傾向にある。こうした新たな研究が旧来の歴史観への復帰に終わるのではなく,修正主義を克服するためには,経済史研究が政治史や思想史・宗教史研究などと改めて結びつく必要があろう。大飢饉の影響は経済的側面だけでなく,人間生活全体にわたったからである。

故玉置紀夫教授追悼号

収録刊行物

  • 三田商学研究

    三田商学研究 48 (5), 113-127, 2005-12

    慶應義塾大学出版会

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ