トレーディング目的で保有する現物商品の会計処理の含意と示唆

書誌事項

タイトル別名
  • トレーディング モクテキ デ ホユウ スル ゲンブツ ショウヒン ノ カイケイ ショリ ノ ガンイ ト シサ
  • Toreding mokuteki de hoyu suru genbutsu shohin no kaikei shori no gani to shisa
  • Implication and suggestion of accounting for inventories held for trading

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説明

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金融商品に係る会計基準が導入される2000年に,差金決済を行うコモディティ・デリバティブが時価評価の対象となったため,国際相場商品を扱うトレーダーから,内部管理に利用されている「トレーダーが保有する棚卸資産の時価評価」を財務会計に導入する要望があったが却下された。その後,2005年にもIASB とのコンバージョン・プロジェクトの一環として検討されたが,商法評価規定の制約があることから,引き続き検討することとされ,2006年2月の新たな会社計算規則の公布を待って,ようやく同年7月に導入されたトレーディング目的の棚卸資産を時価評価し評価差額を損益に計上する会計処理について,経緯を詳述する。次に,トレーダーのトレーディング取引の実態を分析し,その実態に基づき時価評価の必要性を検証する。さらに,国際会計基準,米国基準,英国基準の処理方法をレビューする。トレーダーの複雑な取引実態を分析してみれば,時価評価によりリスク管理と業績管理を行う内部管理会計数値は,財務情報数値としても有用であり,時価評価の導入は理にかなったものである。そして,日本基準では整備されていないのであるが,現行の会計基準では財政状態・経営成績を適正に表示できない場合の国際会計基準,米国,英国における対応をレビューする。さらに,トレーダーの総ロング・総ショートとマクロ・ヘッジの取引実態及びリスク管理並びに業績管理に基づく会計処理は,対象は異なるが同様の取引を行っている金融機関のバンキング部門の取引の残高について時価評価を導入すべきことを示唆している。

収録刊行物

  • 三田商学研究

    三田商学研究 49 (7), 119-145, 2007-02

    慶應義塾大学出版会

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