中学校理科における植物を中心とした生物進化授業の展開-生命尊重の意識を育む理科教育をめざして-

書誌事項

タイトル別名
  • チュウガッコウ リカ ニオケル ショクブツ オ チュウシン トシタ セイブツ シンカ ジュギョウ ノ テンカイ セイメイ ソンチョウ ノ イシキ オ ハグクム リカ キョウイク オ メザシテ
  • Proposal of biological evolution class on plant origin in lower secondary school: better science education for respectful consciousness for life

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説明

平成21年度から移行処置により実施されている中学校学習指導要領では,「現存している生物は,進化に よって生じたものであることを理解させ,生命の歴史の長さを認識させることにより,生命を尊重する態度 を育てることが大切である。」と記載されている。そこで本研究では,日常的に生命の尊さについて考える 機会が減少しつつある生徒たちに,現存の生物は,すべて共通の祖先を持ち,膨大な時間をかけて現在のす がたへと進化してきたことを考えさせ,生命の大切さの理解へと導くための授業を実践し,その効果を分析 することを目的とし,中学校1年生120名を対象に,生徒達に最も身近な生物である「植物」の進化を教材 とした授業を展開し,生命尊重の概念形成につながる生物進化の理解への効果を検証した。授業は,次の4 項目について生徒に理解を促す内容であった。~ ①生物の「進化」の科学的な意味に関する理解 句 ②すべての生物が系統樹の根本でつながることに関する理解 ③生物の進化は自然界で偶然起こることに関する理解 ④生物の進化には膨大な歴史を要していることに関する理解 また,授業効果の分析には,授業前・授業後の3度のアンケート調査結果と,学習プリントへの生徒の記 述内容を活用した。その結果〆以下の4つの結果が得られた。 ①生物の「進化」という用語の理解が全体的に進んだ。 ②生物の起源が水中にあることや,動物と植物が共通の祖先を持つことの理解が進んだ一方タ共生説の理解 は不十分であった。 .③生物の進化が自然界で偶然起こるという方向へ生徒の思考が変化しつつあることが考えられた。 ④生物進化は,個体レベルの短い時間で起こるのではなく「長い年月」が必要だという理解が進んだ。 これらの結果は,本研究で提示した授業の有効性を示している一方,生命尊重の意識をより育むための改善点も明らかとなった。

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