夏目漱石『坊ちゃん』の文字表記と語種 : カタカナの使い方をめぐって その2
Bibliographic Information
- Other Title
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- Scripts and the World Classes by their Origins in Natsume Soseki "Botchan" : the Usage of Katakana Part 2
- ナツメ ソウセキ ボッチャン ノ モジ ヒョウキ ト ゴシュ カタカナ ノ ツカイカタ オ メグッテ ソノ2
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本稿では、明治期以降の日本語資料において、カタカナの占める位置は、どのようなものか、ということをみるために、手始めとして夏目漱石の『坊ちゃん』を対象とし、漱石が、『坊ちゃん』という作品の表現手段のひとつとして、カタカナをどうつかったか、あるいはどうつかおうとしたかを考える。全体の構成は次のようである。「0.はじめに 1.『坊ちゃん』のカタカナ表記語 2.語種と、表記の字種との関係1-外来語の、表記の字種(以上前稿「その1」)」以下、3.語種と、表記の字種との関係2-和語の、表記の字種4.「笑い」について5.漱石の表記態度6.おわりにが、本稿「その2」の対象部分である。「3.語種と、表記の字種との関係2-和語の、表記の字種」では、和語として分類したカタカナ表記語のうち、「生き物:バッタ、ゴルキ、イナゴ、モモンガー(4語)」について、カタカナ表記されている理由を、読みやすい漢字表記がないこと、などと推測した。また、擬態語や和語の畳語は原則としてカタカナ表記されないこと、擬音語にもひらがな表記の例が多いことを指摘し、笑い声を除く擬音語について、カタカナ表記されている理由を、高い鋭い音が意識されているためではないかと考えた。「4.「笑い」について」では、「アハハハ」は山嵐、「エヘヘヘ」は野だいこ、「ホホホホ」は赤シャツというように、笑い声の特定のカタカナ表記が、主要な登場人物につかわれ、その人物の性格描写と関連していることを指摘した。「5.漱石の表記態度」では、語種を基準とした機械的な文字のつかいわけはしていない、という点と、和語のカタカナ表記は、かなり意図的なものである可能性が高い、という点を指摘した。漱石の表記態度には、現代の日本語話者の表記態度に通じるものがある、と考えられる。
Journal
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- 人間文化研究
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人間文化研究 11 145-154, 2009-06-30
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Details 詳細情報について
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- CRID
- 1050001337543462016
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- NII Book ID
- AA11807171
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- ISSN
- 13480308
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- Web Site
- http://id.nii.ac.jp/1124/00000250/
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- Text Lang
- ja
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- Article Type
- departmental bulletin paper
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- Data Source
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- IRDB