書誌事項
- タイトル別名
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- Managing Accountability: Global Strategic Structure for International Relief and Development NGOs
- コクサイ NGO ノ ホウカツテキ ナ アカウンタビリティー ト ソシキ コウゾウ
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説明
この研究ノートは、緊急・開発援助に携わる国際非政府組織(INGOs)が多様な利害関係者に説明義務(アカウンタビリティー)を果たす上で抱える組織運営の課題について考察することを目的とする。INGOs の組織構造が権力分散化することは、組織の果たすべきアカウンタビリティーにどのような影響があるのかに着目することで、INGOs のアカウンタビリティーと組織構造についての新たな研究課題を提示する。 INGOs のアカウンタビリティーは、援助活動のレポートを通じて、先進国のドナー(資金提供者)を対象としたものを中心に制度化されてきた一方で、発展途上国における援助活動の受益者からの苦情・意見を処理する仕組みがINGOs の組織内部に十分整えられていない。その背景には、金銭的対価なしにサービスを提供する非営利組織に対する受益者行動にひとつの原因がある。受益者は通常、他組織が提供するより良いサービスを求めて「離脱」するだけの動機付けが弱く、たとえINGOs による活動の質の低下が生じても、INGOs への苦情や建設的提案といった「発言」を行うことは控える。 ActionAid International(AAI:英国のINGO)の事例研究は、受益者のニーズに応えるためには、彼らからの直接のフィードバックを取り入れることが不可欠であることを示した。AAI は権力分散型の組織構造ではない中でも、組織内部では「学習する文化」を浸透させ、受益者から苦情や提案を吸い上げる機会を制度化した。それによって、貧しい受益者達と直接的なコミュニケーションを取る場を広げ、結果的に彼らのニーズに効果的に応えることを可能にした。この苦情・提案処理の機会提供と同時に、AAI は蓄積された経験を共有することにオープンなリーダーを育成することに焦点を当てた。それによって、どのような組織構造の型であったとしても、複雑なタスク環境に迅速に対応できるリーダーを内部に持ち、持続的な社会貢献を果たすことに繋がった。 この考察結果を受けて今後は、組織学習の文化が非営利組織運営とリーダーシップのあり方にどのような影響を及ぼすのかを研究課題としていく方向性を見出した。
収録刊行物
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- キリストと世界 : 東京基督教大学紀要
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キリストと世界 : 東京基督教大学紀要 24 80-102, 2014-03
東京基督教大学
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1050001337569717248
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- NII論文ID
- 110009751946
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- NII書誌ID
- AN10371265
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- ISSN
- 09169881
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- NDL書誌ID
- 025617975
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- 本文言語コード
- ja
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- 資料種別
- journal article
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- データソース種別
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