戦後の日本における華僑華人の研究史

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  • センゴ ノ ニホン ニ オケル カキョウ カジン ノ ケンキュウシ

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抄録

日本に居住する外国人には、華僑華人と呼ばれる中国大陸および台湾からの移民が多数を占めている。さらに近年、留学生として来日し、日本で職を得て定住する中国人が出現している。留学後、日本に定住する中国人は、これまでに考えられてきた経済的な要因による移動パターンや、華僑コミュニティを形成するといった従来の日本社会への適応パターンとは大きく異なるものと考えられる。本稿は、日本における華僑社会で起きている新しい現象を理解するための理論枠組みを設定するために、戦後から現代までの日本における華僑華人を対象とした研究をレビューすることを目的としている。 戦後から現代までの日本における華僑華人研究の変遷をたどることで、時代による研究対象の変化を次のように整理できた。戦後の日本における華僑華人研究は経済的な側面に着目したものであった。1960年代には社会学的な視点からの研究がいくつか進められたものの、1970年代に入っても経済的な視点からの研究が中心であった。1980年代、華僑社会の多様化が進んだことから、日本社会への適応パターンや文化摩擦などについても華僑研究の対象として取り上げられるようになった。最近では、日本の各地域の華僑華人社会を研究対象に、華僑のアイデンティティの変容や、エスニック・アイデンティティの維持、再構築といったこれまでとは異なる視点からの華僑研究が行われている。

identifier:http://repo.kyoto-wu.ac.jp/dspace/handle/11173/279

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