アジアのデザイン文化の比較研究/山車の造形と祭礼文化を中心にして(4)

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Abstract

本報告は、アジアンデザイン研究所の2014年度の活動について概述するものである。研究所では開設以来、アジア各地域にみられる祭礼の多様な山車の造形的特徴、象徴性、世界観、その仕組みと社会や環境との関係性などについて、デザイン的視点から総合的に把握する調査、研究を継続的に取り組んできている。  2014年度は、タイ北部で高僧の葬儀の際につくられる象の頭をもつ鳥型の火葬山車の象徴的意味、制作方法およびタイ仏教の世界観、死生観を探るため、バンコクおよびチェンマイで調査を実施した。この火葬山車の幻獣はハサディリンと呼ばれ、ヒマパンという伝説上の森に棲む多くの不思議な動物たちのひとつとされる。死体をくちばしか爪でつかみ、天界に連れさるといわれ、徳の高い僧侶が展開に戻るのにふさわしい乗り物として選ばれたと考えられる。在家信徒からの寄付の多寡により、多様な造形で山車が制作される。 さらに、ジャワ舞踊とバリ島の影絵芝居(ワヤン・クリ)についての公開の研究会と公演会を開催し、アジアのデザインの奥深さと魅力を啓蒙する活動も展開した。 これらの一連の活動により、アジアの山車を構成するデザイン語法、象徴性、神話性の広がりを解明する手がかりを得ることができた。

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