両側性に発生したいわゆる球状上顎嚢胞の臨床的検討

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説明

13歳男児。左側上顎側切歯部歯肉に疼痛を自覚した。X線写真にて同部に境界明瞭な洋梨状の透過像を認めた。両側上顎骨嚢胞(いわゆる球状上顎嚢胞)と診断した。外来にて抗菌薬投与を行い、疼痛消失後、全身麻酔下にて両側上顎骨嚢胞摘出術を施行した。粘膜骨膜弁を形成すると皮質骨の菲薄化を認めた。同部の骨を削除し一塊として摘出した。嚢胞壁は厚く、周囲との剥離は容易で、内容液は黄色漿液性であった。また、両側側切歯歯根は嚢胞腔内に含まれていた。術後は再発等の異常はなく良好に経過し、術後1年にて終診とした。病理組織所見で、深部は炎症性肉芽組織、表層は線維性結合組織からなり、部分的に非角化重層扁平上皮で裏装された。裏装上皮は一部で釘脚の延長がみられ、炎症性肉芽組織には、好中球、形質細胞、リンパ球などの炎症細胞浸潤を認めた。

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