バスケットボールのチェストパスにおける技能の水準と機械的効率の関係(人間環境学)

書誌事項

タイトル別名
  • バスケットボールのチェストパスにおける技能の水準と機械的効率の関係
  • バスケットボール ノ チェストパス ニ オケル ギノウ ノ スイジュン ト キカイテキ コウリツ ノ カンケイ
  • Relationship between skill level and mechanical efficiency concerning chest pass of basketball (HUMAN ENVIRONMENT)

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抄録

バスケットボールの熟練者群と未熟練者群に, A5判大の標的に向かってチェストパスを行わせ, これをビデオカメラで撮影した。その際, 頻度漸増投球動作と, 距離漸増投球動作の2種類を, 別々の日に行わせた。このとき, ボールが標的に命中すると電球の点灯する装置を画面に写し込んで, 命中確率を求めた。ボールの速度は水平成分と鉛直成分に分け, ビデオの画面のコマ数を数えることによって初速度を求め, これをもとに被験者がボールに与えた運動エネルギーを計算した。同時に呼気を分析し, エネルギー消費量を測定した。両者の値をもとに, 効率を求めた。2種類の投球動作おけるデルタ効率の平均値は, いずれにおいても両群に有意差がなかった。その理由は, 次のように考えられる。熟練者では投射角が小さく, 従ってボールの速さは大きく, そのために消費するエネルギーも大きいが, ボールの運動エネルギーに変換されない無駄な動作である内的仕事に消費されるエネルギーは小さい。未熟練者では両者ともこの逆なので, 結果として, デルタ効率の平均値は, 技能の水準に依存しない。頻度漸増投球動作においては, ボールの運動エネルギーの頻度への回帰直線より, 無負荷, すなわち頻度0回/分におけるエネルギー消費量を求めることができたが, 距離漸増投球動作においては, 同様の方法で距離0mにおけるエネルギー消費量を求めることはできなかった。投球可能な最大距離での腰の前進速度は, ボールが手から離れる0.17秒前までは両群間に有意差がなく, 0.17秒から0秒では有意差が存在した。この理由は, 未熟練者は熟練者のように, 下半身に始まり最後に身体全体を大きく前進させ, この運動エネルギーを上肢を介してボールに伝える技能を有さないためであると考えられる。距離漸増投球動作は, 両群とも同じ距離から投げるので, このときの命中確率と純効率を求めて比較した。その結果, 熟練者の方が命中確率が高く, 効率も高かった。

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