「生活の豊かさ指標」から見た地域格差

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  • Regional differentials based on indicators of "Quality of Life"

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抄録

日本の一人当たり国民所得は、1980年代後半に世界のトップクラスになったが、「豊かさが実感できない」という声が強いことから、経済企画庁は「新国民生活指標」(PLI:People's Life Indicators)を作成し、公表してきた。しかし、この指標も「地域の真の豊かさを示すものではない」とする批判が根強くあり、経済企画庁は、この生活指標による47都道府県の豊かさ比較を平成10年までで打ち切った。経済企画庁が開発したPLIに対する不満の一つは、気候条件や郷土愛など主観的な要素が含まれていないことにあると思われるが、それ以外にも「物の豊かさ」がある程度達成された日本人にとって、「心の豊かさ」が求められるようになっており、その尺度がはっきりしていないことにも不満があるのではないか。そうした観点にたってPLIの144データから、貨幣的価値で測定できない「非貨幣的データ」を選び出すなどして総合的な比較を試みた。結論的には、「心の豊かさ」は複雑で、単純データ比較では捉えられず、多面的な尺度の開発が必要となることを改めて認識せざるをえない結果になったが、最後に捉え方の方向だけは示すことにした。

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