反政府武装集団に対する国家の法執行における致死力行使と国際人権法の規制力 -欧州人権裁判所2011年フィノゲノフ事件裁判をめぐって-

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  • Can International Human Rights Law Duly Regulate the State's Use of Lethal Force in Law Enforcement against an Armed Opposition Group?

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抄録

国家と反政府武装集団といった法的非対称関係における前者の後者に対する致死力行使をめぐっては、それが非国際的武力紛争の敷居に達すれば、人道法の敵対行為型暴力行為規制を法構造上の矛盾にも拘わらず拡張適用しようとする動きが近年顕著であるが、これに対して人権法の法執行型暴力行為規制はどれほど有用であるだろうか。欧州人権裁判所が近年フィノゲノフ事件判決で明確に提示した回答は、平時の法執行であれ非国際的武力紛争時の軍事行為であれ本質的な区別なく、致死力行使に訴える国家がその置かれた事態にコントロールを及ぼしているか否かという事実評価をメルクマールとし、かかるコントロールを及ぼしているときには「絶対的必要」基準を、及ぼしていないときにはそれより穏やかな-よって国家の判断を優先する-基準を、少なくとも致死力行使の戦略的・軍事的・技術的側面について当てはめるというものである。本稿は、このような人権法による法執行型暴力行為規制の内容を詳細に分析し、それが平時とも非国際的武力紛争とも捉えうる国家の致死力行使の規律にいかなる意義と限界をもちうるかを検討するものである。

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