ケベックのインターカルチュラリズム政策と暦史の教育 : 哲学的定性的研究

書誌事項

タイトル別名
  • Québec's Intercultural Policy and History Teaching : a philosophical and qulitative study

この論文をさがす

抄録

本論文は,著者がマッギル大学に提出した博士論文でおこなった研究の一部に基づくものであり,「モントリオールの教室の中では,権力とアイデンティティのナラティブはどのように取り扱われているのか」が著者の基本的問題関心である。本論文は,インターカルチュラリズム政策が,歴史の教育,とりわけ,インターカルチュラリズム政策の一環として導入された新科目「地理,歴史,市民性教育」をとおして,子どもたちがケベック市民というアイデンティティを形成するにあたってどのように反映しているのか,というテーマを掲げて,(1) モントリオールの教室の中では,権力とアイデンティティのナラティブはどのように取り扱われているのか, (2) このナラティブは,インターカルチュラリズムのモデルの中で,権力とアイデンティティをめぐる隠された倫理的緊張関係を,どのように反映しているのか, という二つの論点を明らかにすることを目指している。この目的のために,最初に,カナダのケベック州において,1970年代初頭に,どのような経緯でマルチカルチュラリズム政策に替えてインターカルチュラリズム政策が採用されたのかが明らかにされる。次に,本論文で採用された方法論,とりわけ,教師へのインタビューで使われた定性的研究法について説明される,,続いて,定性的研究が明らかにした,インターカルチュラリズム政策をめぐる二つの倫理的課題が明らかにされる。最後に筆者は,上記の二つの倫理的課題への対応として,「インターカルチュラルに考える」ことを推奨している。

収録刊行物

  • 教育学論集

    教育学論集 (66), 113-118, 2015-03-18

    創価大学教育学部・教職大学院

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ