徒然草古注釈書の方法 : 『徒然草寿命院抄』から『野槌』へ

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タイトル別名
  • The old annotations of Tsurezuregusa : from Tsurezuregusa-Jumyoinsho to Nozuchi

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抄録

本稿は、林羅山によって著された徒然草の注釈書『野槌』を取り上げて、その注釈方法の特徴を、具体的に考察するものである。  最初の注釈書である『徒然草寿命院抄』と比較しながら、『野槌』がどのように徒然草の注釈研究を進展させたか、次のような視点から論考する。第一に、『徒然草寿命院抄』から『野槌』へ、新たに付加された注釈を確認しながら、『野槌』の注釈の意義を再認識する。第二に、『徒然草寿命院抄』と『野槌』に見る徒然草の章段の捉え方の違いに注目し、両者の徒然草理解に相違が見られることを指摘する。すなわち、『徒然草寿命院抄』においては、章段間の関連性に注意が払われているが、『野槌』では章段が一段一段独立したものとして捉えられており、章段間の関連性への言及が見られない、という顕著な違いがある。第三に、『野槌』においては類似例を列挙する方法が取られていることに着目し、そこから、羅山が徒然草の注釈を行うことは、彼にとっての自己表現であったのではないかと推測する。第四に、『野槌』が仏典や漢籍を中心とする注釈ばかりではなく、現代にも受け継がれるような、和歌に関する注釈も行っていることに触れる。  以上のような考察を踏まえて、『野槌』の注釈の特徴を明確にし、あわせて林羅山にとって、徒然草の注釈書『野槌』を著したことが、どのような意味を持っていたのか、ということにも言及する。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1050001337747268736
  • NII論文ID
    120005365676
  • NII書誌ID
    AN10019636
  • ISSN
    09114505
  • Web Site
    https://ouj.repo.nii.ac.jp/records/7428
  • 本文言語コード
    ja
  • 資料種別
    departmental bulletin paper
  • データソース種別
    • IRDB
    • CiNii Articles

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